多くの犠牲者を生み続けている原因である、異常に低い木造耐震基準を考える!

首都直下等の震度6強〜7を考えて耐震基準の見直しに迫る!




   国は、阪神大震災で6,400名を超える犠牲者・甚大な被害の主要因を1981年改定前の基準で造られた木造にあるとして、 実物大実験を実施し「1981年改定基準遵守できっちり造られた木造は阪神クラス(震度7・最大818ガル)では倒壊しない」と公表。 以降、この基準に2000年接合金物を追加して現在に至っております。 しかし、阪神大震災の被災地では改定基準で造られた木造が倒壊・甚大な被害を受けていたとして基準法の安全性に疑問を持たれた方も多く、 私も耐力壁試験を通じて1.7倍以上が必要と展示会等で説明してきましたし、一部専門家が「基準1.5倍以下の木造は倒壊」 と警鐘を鳴らされたことは周知の通りです。 しかし、大半の木造関係者は「基準遵守であれば責任は無い」として、基準程度の木造・耐震補強を進めていたのが実情で、 この結果が大津波が甚大な犠牲者を招いたとされる3.11東日本大震災でも、震度6弱程度で多くの木造・補強木造は大被害を受けたのですが、 この実情はあまり報道されていません。 (後に河北新聞が「木造倒壊による圧死者は少なくとも90名以上」と報道・未だ倒壊による正確な犠牲者数は不明)。 こうした中、熊本地震が発生したのですが、阪神大震災以降続いた幾多の大地震を警鐘として真摯に受けとめて適切な対策を進めていれば、 今回多くの犠牲者を減らすることが出来と思わずにはいられません。 そもそも、1981年改定基準は安全限界400ガル(現在の気象庁震度階で震度6弱250〜450ガル)。 この基準で阪神クラスの大地震に対応できるはずはなく、「倒壊を防ぐ」とする対応震度も曖昧な耐震性で今日まで木造が新築・補強されてきたこと自体、 今回の結果を招くことは当然予想できたことと言えます。公表されている想定大地震は震度6強以上。 今回の熊本地震でも前震が震度7であったこと考えれば余震での全壊は当然予想され、この実情を周知させていれば、 本震での犠牲者を防ぐことが可能であり、人災と言わざるを得ません。 今回の熊本地震は、国の「倒壊を防ぐ」とする木造の耐震性の実情を明らかにしたと言えます。 以上の様に、20余年木造の耐震化を進めてきましたが、現状からは予想大地震の被害は被害想定で収まるとは思えません。 東日本大地震でも問題となっていますが、今まで進めてきた補強木造の被害を一体誰が責任を取るのでしょうか。 今後発生する知れない大地震から国民の生命・財産を守る為には、今回を契機として耐震基準の見直しを早急に進めるとともに、 こうした予想される被害に関しての責任を明確にする必要があると思います。

 この様に木造の低い耐震基準を取り上げますと、とかく木造が地震に弱いと考えられがちですが、 実際は木造は軽量で強く地震に対し有利な構造であり、低い基準・弱い構造で造っているから地震に弱いと言えます。 又、我が国の場合、他国の犠牲者に比して少ないのは木造家屋が多いからでもあります。阪神大地震の場合、全壊後の火災で多くの生命が失われたのです。 この一因には、国の施策により現在の木造は低い耐震基準で剛構造である軸組工法で造られている為、 限界を超えると一気に破壊・倒壊することで、多くの犠牲者を招いています。 軸組木造は構造材をコスト重視で簡素化・簡便化している為、躯体強度が低く木造本来の「粘り」が無い為に計算上の耐震強度が出難い上、 比較重い屋根瓦との強度バランスが悪いことで衝撃に弱く,小さな変位で躯体損傷・破壊して一気に倒壊に到り、 他構造より大被害を招いています。 最後の宮大工と言われ木造を知り尽くした西岡棟梁が「筋交いは百害あって一利なし」と指摘されたのは、 脆弱な躯体を考慮しないで使用されてきた圧縮木筋交いの単純な使用方法の危険性を示唆されたのだと思います。 

 今回の熊本地震での甚大な被害で、従来倒壊しないをしないと思われていた耐震基準で造られた木造と 実際の効果確認の無い曖昧な木造の耐震補強の危険性が明らかになったと言えます。こうした惨事を二度と繰り返さない為にも、 国は「想定外の大地震」で済ますのではなく、木造の耐震基準・補強工法を抜本的に見直す必要があると思われます。 それには、今日まで進められた「国民の生命財産を守る」とする基準法に誤りがあったことを明確にし、責任の所在を明らかにすることが重要です。 というのも、今回の地震の被害状況をから、不安を持った建築関係者は少なく、今後、安心して業務が出来る様にする為にも、 速やかに今後の発生が予想される大地震に対応した耐震基準の整備が必要だと考えます。でなければ、「命に関わる重責な事業」として 耐震補強を進めてきた関係者を裏切ることに為りかねません。今回まで進められた耐震補強に関して、責任の所在をどのようにするのか、今後の対応に注目したいと思います。

 軸組工法が計算通りの耐震性が出ていない現状を踏まえて木造改革を目指したSANJIKUは、 阪神大震災での木造倒壊要因分析と木材・木造の経験から開発した耐震金物です。 この金物を使った木構造は、伝統工法・在来工法の優れた躯体性能を軸組工法に反映させる接合部の強化と木筋交いの損傷を防ぐ施工方法で 「靱性特性」を大幅に向上さ、余震に強い構造にします。 又、この金物の特徴でもある3次元補強が持つ複合効果は、耐力壁最大耐力33kNを実証しました。 単なる補強ではなく安価に躯体構造自体を高耐震性能にして、想定大地震・直下型地震に対応する木構造、被災後の損傷を軽減する耐震補強を御提案しています。 さらに、耐震性の低い既存木造の補強工法として、SANJIKU・AKIRA工法を考案。

 日本の木造家屋を確実に「大地震から生命・財産を守り、永く住み続けられる」にする最高クラスの「安全性」を持つ日本の木造住宅を提供いたします。




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